普段スーパーで何気なく買い物をしている時に食品の種類や値段、産地以外はあまり気にしていないのではないでしょうか。ですがメディアの報道でスーパーで売られていた野菜に基準値以上の農薬が使われていた、ということも時々見かけますよね。
今日買ってきた野菜、もしかして…なんて思い始めたらどこに相談すればいいのだろう、と思われる方も多いでしょう。そんな疑問に答えつつ残留農薬についても考えてみましょう。
残留農薬とは食品中に含まれる農薬の量のことです。残留農薬により体調不良を起こしたり、過度に摂取することにより生命の危険にさらされるということもあります。残留基準の設定は厚生労働省の食品安全委員会が設定していて、「ポジティブリスト制度」で基準値が決められています。
そして日本国内の食品については各地方自治体の管理によるところになりますが、輸入食品については輸入時に検疫所にて検査をされることになっています。日本国内の食品検査は毎年監視指導計画に基づいて、食品を市場で収去して検査、また立ち入り検査を実施しています。
輸入品についても、毎年計画的に検査され、複数の違反が見られた場合には都度検査をするなどして厳しく取り締まり、安全に食品が流通されるようになっています。これらに関して問い合わせたい方や事業主の方などは、国や地方自治体に問い合わせ先がありますので、気にされてみるといいでしょう。
平成15年に食品衛生法が改正されポジティブリスト制度が定められました。この制度により全ての農薬に管理基準が設けられ、「健康を損なうことがない量」が決められました。新しく基準値を設けられた農薬に関してもこれから計画的に判断され改正されていく予定です。
今までは、基準値が設けられていなかった農薬を使っていた食品でも販売出来ていました。しかしこの制度により、全ての農薬について基準値を上回っていた場合には原則販売禁止の処置を取ることが出来るようになりました。
この制度が出来たことにより、生産者側の意識も変わり安全な食品が流通するようになりました。またメディアを通しても感じられると思いますが、近年はオーガニックや有機などの言葉をよく見かけますよね。私たち市民の関心の高まりにも対応した措置と言えるかもしれません。
そしてインターネットでもポジティブリストを掲載しているのを見かけます。自分の目で食品についての基準値を気軽に手軽に知ることもできますので、生産者の方だけでなく消費者の目も厳しくなったと言えるでしょう。
国が定めた規定により、食品の流通は安全ではありますが、全く不安解消できたかというとそうではありませんよね。検査体制には問題はありませんが、全ての食品の農薬基準を調べることはやはり不可能です。そんな時に活用したいのは食品表示です。
農林水産省が発表している「特別栽培農産物」という表示を見たことはないでしょうか。これは栽培地における節減対策農薬、化学肥料が50パーセント以下で栽培された作物です。また「有機JASマーク」とうものもあり、農薬や化学肥肥料に頼らないで生産された食品に付いています。
因みに近年よく使われている有機やオーガニックの商品には、この有機JASマークがないと付けられないようになっていますので、気を付けて見てみてくださいね。そして、近頃地元のファーマーズマーケットや、インターネットにて個人的に食品販売をしているのをよく見かけるようになりました。
その時には生産者や生産場所が表示されていますよね。そのようなことを気にするだけで、リピートして安全な食品を入手出来たり、安心したりします。本当に安全な食品を摂取したいと考えてるならば、やはり個人個人が気を付ける習慣を作ることも大切ですね。
また不安な食品については問い合わせをし、自ら発信していくことが安全対策の強化につながっていくことでしょう。
さて、でも実際に検査して具体的に安全を知りたい、と思うこともあると思います。赤ちゃんやお年寄りがいる家庭、または飲食店を営まれている方、工場を安全に管理したい方、そして農家の方など不安を解消したい方はたくさんいるでしょう。
そんな方のために都や県など自治体の検査機関もありますが、その他に民間の検査機関も存在します。そして都市部はもちろん地方にも検査機関がいくつもあります。それでも遠方で難しい場合や、直接出向きたくない場合などは、検査機関と検査物にもよりますが、直接持ち込んで検査を依頼することだけではなく、検査物を発送して検査してもらうことも可能です。
検査項目などにより価格設定は様々ですが、すぐに不安解消したい方や気軽に問い合わせをしたい場合には相談窓口になりますね。更に急がれる方の場合には検査キットの販売もされています。自主検査にはなりますが、キットを購入すれば検査の待ち時間が短縮されますので正確性よりスピードを重視される方にはこのような方法もあります。
検査に関して必要がある方や安全を気にされている方は、日頃から検査機関や方法を確認しておくと安心でしょう。
最後におまけです。ここまでは農薬が悪者で排除についての考え方でしたが、農薬は完全に悪者なのでしょうか。野菜農家の方に聞くと、完全に無農薬で野菜を栽培することはなかなか難しいと聞きます。例えば、害虫がついて逆に衛生的でない、猛暑に対抗するため化学肥料を使うなどということがあります。
また完全に無農薬で栽培されている野菜を作るには、1つ1つ野菜についている害虫を排除したり、見た目がきれいに見えるように霜や暑さから守るために工夫がいるなどかなりの労力が必要とのことです。農薬を多量に使うことはもちろんタブーですが、労力や気候変動に対応するため仕方がないところもあるようです。
そのような苦労があって、店舗に食品が並んでいることも忘れてはならないですね。
残留農薬に対して、ポジティブリスト制度や国、自治体の働きにより安全な流通につながっていることがわかりました。問い合わせに関しても、国や自治体に問い合わせる他、民間企業でも検査機関があり、簡単に検査を依頼することができ生活上身近になっています。
心配な方は自分の目を持って食品の表示ラベルなどを参考にしつつも、有効に検査機関を活用することも安心につながることでしょう。