残留農薬の基準値を決めるための調査

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安全に食べることのできる食品を調べるためにおこなわれているのが、残留農薬の調査です。健康に関する関心が高まっていることから、健康に大きな影響を与える食べ物の安全性にも多くの人が関心を寄せています。

ここでは残留農薬の調査に関係する、農薬の残留基準について詳しく紹介するので、興味のある方は参考にしてください。

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残留農薬を調査するうえで知っておいた方が良いのが、食品に残されている農薬の残留基準です。残留農薬の量と人体に与える危険性の関係を重視して、残留農薬の基準は決められています。

残留農薬の基準の決め方として一般的なのは、農薬を決められた方法で使用した場合に食品に残る、農薬の量を参考にする方法です。食品に大量の残留農薬が残っているということは、農薬を決められた使用方法で使用していない可能性があり、通常の用法よりも大量の農薬を使用した場合などには特に、基準よりも大幅に残留農薬が増えることがあります。

残留農薬の基準は国内における基準だけではなく、海外で定められている基準を参考にして決められることもあります。参考にされているのは、世界保健機関などにより設置された委員会が定めている残留濃度の基準です。政府間機関が定めた基準であるために、国際的な食の安全のルールに従うという観点からも、国内の基準作りの参考にされています。

安心して食べることができる残留農薬の基準は、さまざまな観点から決められています。一つのポイントだけでなく複数のポイントから残留農薬の安全性を確認することにより、体の弱い子供や高齢者でも安心して食べることができる食品作りを推進していいます。

残留農薬の基準の一つとなっているのが一日あたりの残留農薬の摂取許容量です。

毎日同じ食品を食べれば一日あたりに摂取する残留農薬が少なくても長期的に見れば害が生じる可能性もあるために、こうした観点からも基準が決められています。残留農薬の基準値を決める場合、重要になるのは長期的な影響です。

一人の人が毎日、食品に含まれる一定量の残留農薬を生涯にわたって食べ続けたとしても、健康に害がないかどうかが非常に重視されています。生涯に摂取する残留農薬の総量から、一日あたりに摂取しても安全な残留農薬の基準値を決めることで、国民が長期的な健康の維持を保つことができるような食のルールが決められています。

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残留農薬の基準を決めるもう一つの方法としておこなわれているのが、あまり時間をあけずに同じ残留農薬を続けて体内に摂取した場合の、影響を考慮する方法です。毎日一定の基準以下の残留農薬を摂取している場合であっても、食品の食べ方によっては健康に何らかの影響が出る場合もあるので、こうした方法による基準の決定も重視されています。

具体的には、24時間以内に同じ種類の残留農薬を含む食品を食べても健康に害がないかどうかで、農薬の安全性を確認しています。短期間に大量の残留農薬を体内に摂取することにより、通常よりも体に悪い影響を与える危険性が高くなるために、摂取する間隔という観点からも、基準が厳しく決められています。

24時間よりも短い時間の間に続けて同種の残留農薬が摂取されることもありうるので、こうしたケースを想定した調査も一緒におこない、残留農薬の基準値が決められています。短時間における残留農薬の摂取が与える影響は、動物を使用した検査などによって確認されていて、科学的な根拠に基づき決定されています。

残留農薬の安全性について考える

残留農薬調査に使用される基準値が決定されるまでのプロセスには、多くの政府機関が関係しています。残留農薬の基準値を決定する作業の中心となっているのは厚生労働省ですが、そのほかの機関も厚生労働省をさまざまな面でサポートしています。

残留農薬の基準値を決めなければいけない典型的なケースは、新しい種類の農薬が登録された場合です。この場合には、農薬を製造している事業者などが、厚生労働省に対して残留農薬の基準値を決めてもらうための申請をおこないます。

厚生労働省では業者から申請があった場合に、内容を具体的に確認してから、具体的な基準値を決定するための作業を開始します。まず初めにしなければいけないのは、申請された製品の残留農薬に関するリスク調査です。

こうした調査は厚生労働省が直接おこなうのではなくて、食品安全委員会に依頼しておこなわれています。依頼を受けた食品安全委員会では、申請された農薬を残留農薬として摂取した場合の、さまざまなリスクを総合的に調査します。

食品安全委員会でおこなわれている残留農薬のリスク調査では、各種の検査から得られたデータを元にして安全性の確認がおこなわれています。人体に大きな影響を与えるリスクとして特に重要視されているのが、残留農薬によるがんの発症率の増加です。

残留農薬の性質によっては高い発がん性を持っている可能性もあるために、慎重に検査をおこなって安全性を確認しています。毒性の検査も食品安全委員会のリスク調査ではおこなわれていますが、毒性の種類ごとに細かくリスクを検査しています。

残留農薬を摂取した場合に、人体に悪い影響を与えることがあるのが慢性的な毒性を持っているタイプの農薬です。慢性的な毒性を持つ残留農薬は、食べた後すぐに、体に目に見える悪い症状が発症することは少ないですが、長期的に同じ残留農薬を摂取することで、次第に症状の悪化が明らかになることがあります。

こうしたタイプの毒性を持つ残留農薬のリスクは短期間では判断できないことが多いために、時間をかけて調査が慎重におこなわれています。残留農薬の種類によっては、急性の毒性を持っているものもあり、このタイプの毒性を持つ農薬の場合には、食べてから短時間で何らかの明確な症状が発症する場合が多いです。

二つのタイプの毒性を総合的に調査することで、残留農薬を安全に摂取できる基準値を正確に決めることができます。

残留農薬はどのくらいが安全ラインなのか

残留農薬の基準値は厚生労働省が中心になり決定されていますが、残留農薬に対する一般の関心も高まっていることから、基準値の決定も多くのことを考慮しておこなわれています。国民が安全に食べることができる食品を調べるためにも、正確な基準作りは絶対に欠かせないことです。

安全な食品を提供するため、自分で栽培する食品にどれくらいの残留農薬があるのか調べたい方は、専門の業者に一度相談してみてはいかがでしょうか。